2018年度KC’s通常総会、総会記念シンポジウム「KC'sは消費者とともにどう活動するか~特定適格消費者団体の社会的役割について考えよう~」を開催しました。
2018.07.23(No.10000857)

  6月23日(土)大阪府社会福祉会館4階401会議室にて2018年度消費者支援機構関西(KC’s)の通常総会と記念シンポジウムを開催し、85名の参加を頂きました。

 司会を浅田奈津子KC’s理事が努めました。冒頭、榎彰德理事長から開会の挨拶がありました。特に、「特定適格消費者団体」として被害回復活動に取り組んだ初めての年であったこと、一方で、「適格消費者団体」としての差止請求活動でも訴訟を進めていることなどが述べられました。

●2018年度通常総会
 総会の議長を加藤進一郎弁護士(個人正会員)が努めました。総会議案提案は、元山鉄朗KC's事務局長より第1号議案(2017年度事業報告の件)、第2号議案(2017年度決算報告の件)、第3号議案(定款変更の件)が提案され、2018年度事業計画、2018年度活動予算が報告されました。続いて、川村哲二KC's監事から監査報告があり、藪野恒明調査実施者より消費者契約法第31条に基づく調査報告がありました。
 議案討議では、団体賛助会員の住友生命村井正素さんから、KC'sが開催している双方向のコミュニケーション研究会が事業者と消費者との橋渡しとしてよい働きをしており、今後も続けて欲しいとの励ましの言葉がありました。
 その後、採決に移り、全議案が可決されました。

≪採決結果≫ 出席表決権数 109票/表決権総数114票

第1号議案 2017年度事業報告の件 賛成多数で可決
第2号議案 2017年度決算報告の件 賛成多数で可決
第3号議案 定款変更の件 2/3以上の賛成で可決

●総会記念シンポジウム
 第一部報告①「KC's消費者団体訴訟制度をどう活用してきたか~差止請求11年の歩みから振り返る」として、五條操KC's差止請求検討委員長から報告がありました。特に、KC'sの特徴として、誤解に基づく「申入れ」を避けるため、「お問い合わせ」(非公開でのやり取り)や対話を重視した対応、事例によっては面談等を実施していること、全事例で何らかの改善の成果を出していることなどが述べられました。

 報告②「イソフラボン事案16社へのお問い合わせ・申入れ・要請活動の取組みについて~特定適格消費者団体としての1年間を振り返る」として、島川勝KC's被害回復検討委員長から報告がありました。特定消費者団体が行う被害回復裁判手続の説明やイソフラボン事案を取り扱うようになった経緯について説明がありました。

 第二部のグループワークは、二之宮KC's常任理事がコーディネーターを務め、報告①、②を受けて、イソフラボン事案の「申入れ」「要請」活動の過程で発生した事業者や業界からの反応について、業界新聞の掲載記事を題材に考えました。
 グループワーク①では、「事業者・業界からの反応をどのように考えるか?」をテーマに事業者・業界の反応からなぜ、そのような反応をしたのかを探りました。
 グループワーク②では、「今後、KC'sが被害回復の取組みをすすめていくうえで求められる課題は?」をテーマにKC'sが新制度をよりよく活用するためには、どうしていくことが必要なのかを考えました。
 10のグループに分かれ、それぞれのグループに弁護士、司法書士、相談員、消費者、事業者のみなさんに入っていただきました。グループワーク①では、「適格消費者団体というよく知らない団体に対し、とまどい・警戒・恐怖感を感じている」、「制度の普及・理解が進んでいない」、「何故、イソフラボンだけが言われるのか疑問」、「機能性食品という成長分野での出来事」といった思いが事業者・業界にあり、そこからの反応ではないかといった意見が出されました。グループワーク②では、「知名度を上げていく必要がある」、「団体や制度を業界に知ってもらう必要がある」、「行政の協力も得て、団体・業界の双方を呼んだ場での制度の説明が必要」、「よい対応の事業者をしっかりと評価するなどのインセンティブが必要」、「制度の使い勝手の限界も課題にするべき」、「KC'sが行ってきている訴権に訴える前にまず分かり合えることを求めていく『お問い合わせ』や『双方向コミュニケーション』が重要」などの意見が出されました。

 最後に、飯田秀男KC's副理事長より、閉会の挨拶がありました。