2017年度KC’s通常総会、総会記念シンポジウム「新しい消費者被害回復制度を、わたしたちの制度として使うために~もっと知りたい!特定適格消費者団体!」を開催しました。
2017.06.24(No.10000690)
 6月24日(土)、新大阪丸ビル別館にて、2017年度KC’s通常総会と総会記念シンポジウムを開催し、総会には、82名の参加をいただきました(シンポジウムは80名参加)。

〇2017年度通常総会
 冒頭、片山登志子副理事長より、体調不良のため欠席した榎彰德理事長からのメッセージが読み上げられました。その後、6月21日の特定適格消費者団体の認定交付式の紹介とあわせて、「新制度を担う特定適格消費者団体として、消費者被害回復のため活動を開始します。引き続きご協力をお願いします」との開会挨拶がありました。
 続いて、西島秀向事務局長より、第1号議案(2016年度事業報告承認の件)、第2号議案(2016年度決算承認の件)、第3号議案(定款変更の件)、第4号議案(役員選任の件)、第5号議案(会費規程制定の件)、報告事項1(2017年度事業計画の件)、報告事項2(2017年度活動予算の件)をパワーポイントで提案しました。引き続き、川村哲二監事より監査報告があり、藪野恒明調査実施者より消費者契約法第31条に基づく調査報告がありました。議案討議では、五條操差止検討委員長より、2016年度の差止請求活動の特徴について報告がありました。また、「現在、消費者契約法改正の検討が行われており、意見書の提出など、よりよい改正を目指した取り組みも行ってほしい。」との会場発言もありました。その後、採決に移り、全議案が可決されました。

≪採決結果≫ 出席表決権数109票/表決権総数110票

第1号議案 2016年度事業報告承認の件    賛成多数で可決
第2号議案 2016年度決算承認の件      賛成多数で可決
第3号議案 定款変更の件          2/3以上の賛成で可決
第4号議案 役員選任の件          賛成多数で可決
第5号議案 会費規程制定の件        賛成多数で可決

 総会終了後の理事会報告で、榎理事長、片山副理事長、飯田副理事長、坂東常任理事、二之宮常任理事の体制が紹介され、本総会で退任される理事の野間誠さん、西島秀向さんよりご挨拶いただき、記念品が贈呈されました。また、新しい理事として、田中浩太郎理事、元山鉄朗理事・事務局長が紹介されました。

〇総会記念シンポジウム:テーマ「新しい消費者被害回復制度を、わたしたちの制度として使うために~もっと知りたい!特定適格消費者団体!」-新しい消費者被害回復制度を『模擬体験』で学びます PartⅡ-

 昨年10月から「消費者被害回復訴訟制度」が施行され、消費者の被害回復ができるようになり、また、KC’sも「特定適格消費者団体」の認定を受けたことから、今年のシンポジウムは、新制度の一部を「特定適格消費者団体」の立場から体験することで、新制度を身近に感じていただき、新制度を実効性のあるものとして運用していくにあたり、参加者から様々なご意見をいただくことを目的として開催しました。参加者は、8つのグループに分かれ、それぞれのグループに、弁護士・司法書士・相談員・消費者・事業者・行政のみなさんに入っていただきました。また、シンポジウムには、新聞社の記者にも取材いただきました。
 司会は、KC’s浅田奈津子理事が務めました。グループ論議その1では、各グループで、KC’sが情報提供を受けた3つの事例の中から、KC’sが、どの事例を取り上げるべきかを議論いただきました。これは、実際の「被害回復検討委員会」での議論を、参加者自らが体験していただくことを企図したものです。
 
 冒頭、KC’s二之宮義人常任理事・被害回復検討委員会副委員長より、新制度の概要について、KC’sが予定しているすすめ方をもとに説明を行い、取り上げるかどうかの判断基準として、以下の3点を説明しました。①勝訴しないと被害回復できない。勝訴の見込みを重視するか、社会的に問題がある事例は勝訴の見込みが少なくても取り上げるべきかどうか。②被害金額を事業者から回収できないと被害回復できない。回収しやすさを重視するか、わずかでも被害回復が図れることを重視するか。③KC’sの人的資源、財政資源から、取り上げる優先順位をどのように考えるか。
 続いて、KC’s西島秀向前事務局長より、情報提供を受けたと想定した3つの被害事例、「事業者の破たんにより旅行サービスが受けられない事例」、「結婚式・披露宴会場のキャンセル料金が高すぎる事例」、「専門学校で入学金納入後に退学を申し出たが学費を一切返金しない事例」について説明がありました。
 そのあと、参加者一人ひとりが、3つの被害事例の中から、「KC’sで取り上げるべき被害事例」を選び、グループ内で、何を選んだか、また、選んだ理由について話し合っていただきました。
 最終的に、各グループからどの被害事例が選ばれたか、選んだ理由を発表し、一覧表に落とし込み、全体で共有しました。各グループからの発表を受けて、KC’s島川勝理事・被害回復検討委員会委員長より、コメントをいただきました。
 
 グループ論議その2では、実際に、特定適格消費者団体が第一段階で勝訴した際に、被害者である消費者に届く「通知書」や「通知書の速報(概要版)」、被害者が訴訟に参加する場合の「契約書」、被害者がKC’sに支払う「報酬規程のポンチ絵」のサンプルを、参加者のみなさんに読んでいただき、KC’sへのアドバイスを出していただきました。
 
 最後に、KC’s飯田秀男副理事長より、「訴訟に至り、第一段階に勝訴した場合、ニュースを見た消費者や被害者から、問い合わせの電話が殺到したときにどう対応するのか。また、各地の消費生活センターに相談が殺到したときに備えてどうするのか。取り上げる事案を決めることも大切だが、それ以外にも、手続を円滑に進めるため準備しなければいけないことが、たくさんある。本日お集まりのみなさん、行政のみなさんのご協力もいただきながら、引き続き、準備を進めていきたい。」と閉会挨拶があり閉会しました。