2016年度KC’s通常総会・総会シンポジウム「新しい消費者被害回復制度を使いこなすために~あなたならどうしますか?」を開催しました。
2016.06.25(No.10000618)
 2016年6月25日(土)、新大阪丸ビル別館にて、通常総会・総会シンポジウムを開催し、85人が参加しました。

○2016年度通常総会
 榎理事長より「KC’sは、昨年、設立から10年を迎えました。適格消費者団体として2007年から差止活動に取り組んで、この間8件の差止訴訟を提起し、成果を出してきました。今年10月から新制度が始まり、それを担う特定適格団体を目指します。引き続きご協力をお願いします」との開会の挨拶がありました。
 続いて、西島秀向事務局長が2015年度事業報告(第1号議案)、決算報告(第2号議案)、役員選任(補充・第3号議案)、報告事項1、2をパワーポイントで提案し、松山治幸監事より監査報告、藪野恒明調査人より第三者調査報告をしていただきました。議案討議では、株主の権利弁護団の加藤昌利弁護士より、KC’sの活動を社会的意義のあるものと評価いただき、50万円の寄附金をお贈りいただいた経緯と、新制度で特定適格消費者団体として活躍されることの期待を述べていただきました。また、2015年度の差止活動の特徴の報告を五條検討委員長が詳しく説明しました。その後、採決を行い、全議案が可決されました。

≪採決結果≫ 出席表決権数101票/表決権総数105票
第1号議案 2015年度事業報告承認の件  賛成多数で可決
第2号議案 2015年度決算承認の件    賛成多数で可決
第3号議案 役員選任の件          賛成多数で可決

 最後に、ご来賓として出席いただいた消費者支援ネットくまもとの原彰宏理事に、熊本の震災後の活動の状況を報告いただきました。あわせて、会場では、消費者支援ネットくまもとにお渡しするお見舞金への募金を呼びかけ、通常総会・総会シンポジウム終了後に、お渡ししました。
 総会終了後には、新任理事の樋口容子さんと退任理事の藤原以久子さんに、それぞれご挨拶をいただきました。

○総会シンポジウム
 今年10月から「消費者被害回復訴訟制度」が施行され、消費者の被害回復ができるようになることを受け、参加者に、ひとりの消費者の立場から意見を出し合っていただき、専門家のコメントも交えながら、新しい消費者被害回復制度をより身近に感じていただくことを目的に、「グループディスカッション」と「模擬体験」の二部構成で開催しました。司会は、KC‘s理事の浅田奈津子さんと西島事務局長が務めました。

 前半のグループディスカッション:「このようなケースでは、被害回復ができるのか?」では、まず、KC‘s常任理事の二之宮義人弁護士より、新しい消費者被害回復制度の概要について紹介がありました。また、今回参加者にKC’sで取り上げて欲しい被害事例として、「前払い授業料」、「白斑被害」、「携帯電話」、「食品偽装」、「冠婚葬祭業」を説明いただきました。
 そのあと、参加者それぞれで、5つの被害事例の中から、「新制度で取り上げて欲しい被害事例」を選び、グループ内で、何を選んだか、また、選んだ理由について話し合っていただきました。
 最終的に、各グループからどの被害事例が選ばれたか、選んだ理由を発表し、ランキングにし、二之宮弁護士より、コメントをいただきました。
 一番取り上げるべきという声が多かったのは「携帯電話」で、「契約が複雑になっており、被害者数が多い。」、「適正な料金体系作りまで視野に入れるべきだ。」、「こういった事業が、常識になっており、一個人では声をあげづらい。」といった理由があげられました。
 
 後半の模擬体験:「あなたならどうしますか?」は、実際に新制度が始まった際に、特定適格消費者団体から、被害者である消費者に届く「通知文」のサンプルを、実際に参加者のみなさんに読んでいただき、感想を出し合いました。
 まず、「通知文」を起案いただいたKC‘s理事の島川勝弁護士より、「通知文」の概要について説明をいただきました。
 その後、各参加者が「通知文」を実際に読んでみて、「読んでわかりますか?」、「わかりにくいところはどこですか?」、「この通知による返還手続きに参加しますか?その理由は?」などのアンケートに答えていただき、会場から発言をいただき、全体で交流しました。
 「必要書類はあるのか?あるとすれば何?」、「今後のスケジュール、たとえば、いつ、どうやって返金されるのかがわかりにくい。」、「共通義務確認訴訟など言葉がわかりにくい。」、「KC‘sという団体を知らない消費者がほとんどなので、この通知文が届いたとき、まず詐欺ではないかと疑うのではないか。」などの感想があげられました。

 最後に、KC‘sの飯田秀男副理事長よりの閉会挨拶で「今回のシンポジウムでは、主催者側に多くの気付きがあったことに感謝したい。『通知文』の模擬体験では、この通知文が消費者に届いたときに、消費者がどう感じるのか、新手の詐欺商法ではないかとまず疑われるということに思いがいたらなかった。今後も、消費者目線を大切にしながら新制度への対応準備を進めていきたい。」と締められ閉会しました。