KC’s 2014年度通常総会&記念シンポジウム「新しい消費者被害回復制度(消費者裁判手続特例法)とKC’sの役割」を開催しました。
2014.06.21(No.10000461)

2014年6月21日(土)、エル・おおさか南ホールにて通常総会・記念シンポジウム開催し108人が参加しました。

○2014年度通常総会
 榎理事長より開会の挨拶として「KC'sは、設立から来年で10年を迎え、適格消費者団体としての認定を受けてから7年となる。この間6件の差止訴訟を提起し、その内3件が係争中である」との報告がありました。
 続いて、西島秀向事務局長が2013年度事業報告(第1号議案)、決算報告(第2号議案)を提案し、公認会計士の松山治幸監事より監査報告、調査人の児玉憲夫弁護士より第3者調査報告をしていただきました。その後、採決を行い全議案が可決されました。
 2014年度事業計画・活動計算書についての報告では、西島事務局長より、「KC'sの差止事業は団体会員の協力と多くの弁護士・司法書士・相談員等の方々のボランティアにより支えられている活動である」との説明がありました。また、昨年成立し公布され、2016年中に施行予定の「消費者の財産的被害の集団的な回復のための民事の裁判手続の特例に関する法律(消費者裁判手続特例法)」については、「全国や近畿の様々な団体による要請、提言活動が法律の成立へ結び付いたが、今後、3年以内の施行までに実効性のある制度となるように提言を行っていきます。また、KC’sとして特定適格消費者団体の認定申請にむけて必要な検討・準備を行っていく」との決意を述べました。
 あわせて、「『公正な市場づくり』を願う消費者・事業者・行政とのネットワークを強め“広く消費者とつながる”活動に重点を置き、取組みをすすめるとともに、新制度を担う特定適格消費者団体の認定をめざしていきます」と今年度の活動方針を報告しました。
 質疑では、差止裁判の詳しい内容を教えてほしいとの質問があり、弁護士の五條検討委員長より現在係争中の3件の裁判について説明しました。

≪採決結果≫ 出席表決権数108票/表決権総数114票
第1号議案 2013年度事業報告承認の件  賛成多数で可決
第2号議案 2013年度決算承認の件    賛成多数で可決

○総会記念シンポジウム
 記念シンポジウムでは、「消費者裁判手続特例法」についてわかりやすく学習しました。また、この制度を担っていく特定適格消費者団体をめざすKC’sへの協力を呼びかけました。

大阪大学学生劇団ちゃうかちゃわんの7人のメンバーが、「消費者裁判手続特例法」について、“たこ焼き”をテーマにした掛け合い漫才と“専門学校の学納金問題”をテーマにしたコントを演じ、参加者に、新制度についてイメージをつかんでもらいました。
 つづいて、KC’s常任理事の二之宮義人弁護士が「消費者裁判手続特例法」の制度解説を寸劇の“たこ焼き”と“専門学校学納金”の事例を用いて、法的に対象となるのかならないのか、特定適格消費者団体が取り上げが可能か、被害額の返金が可能か、対象外となる損害かなど、様々な観点より具体的に制度の解説を行いました。
 後半は、パネリストに全国大学生協連 大阪・兵庫・和歌山ブロック平和と社会的課題担当で兵庫県立大学理学部3回生の田中喜陽さん、KC’s理事で大阪府生協連専務理事の中村夏美さん、KC’s検討委員で消費生活相談員の樋口容子さん、KC’s常任理事の二之宮義人弁護士、コーディネーターにはKC's副理事長の片山登志子弁護士が務め、パネルディスカッションを行いました。
「特定適格消費者団体が新制度で対応できる事例、無理な事例」というテーマでは、携帯電話契約は対応できるが、カラオケ店の看板表示やネットオークションなどは対応できない場合が多いなど、事例ごとに解説されました。「新制度及び他制度による被害回復(相談現場の具体的な被害事例から)」では、消費生活センターでも相談受付や事務作業などが発生することが想定されるため、行政でも準備が必要であるとの意見が出されました。その他に「新制度のイメージ」「新制度を担っていく特定適格消費者団体の支援の必要性」「KC’sへの期待と自ら行動したいこと」の論点で、論議を行いました。会場からは「事業者は不安感をもっている」という意見がだされ、「消費者対応がきちんとされておれば問題なく、制度上も濫訴ならない」ことを説明しました。
 パネルディスカッションの結びとして、「消費者裁判手続特例法」が有効活用できるよう活動していくことを確認しました。

 最後に、シンポジウムのまとめとして飯田秀男KC’s副理事長より、「消費者裁判手続特例法」を担う特定適格消費者団体をめざすKC'sへの支援の呼びかけを行いました。

消費者裁判手続特例法「たこ焼き」漫才はこちら