MENU
2025年1月31日、2024年度第3回双方向コミュニケーション研究会を、大阪府立ドーンセンターにて開催しました。参加者は61名(実参加28名/web参加33名)、内訳は、消費者25名、事業者11名、行政(消費者庁・消費者委員会・大阪府消費生活センター)16名、事務局他9名でした。
研究会の準備にあたり、消費者関連専門家会議(ACAP)のご協力をいただきました。又、今年度から消費者庁の後援を受けて開催しました。
今回の研究会は「消費者法制度のパラダイムシフト」と双方向コミュニケーションを考える内容として開催しました。現在、消費者委員会の「消費者法制度のパラダイムシフトに関する専門調査会」において議論が行われています。消費者を取り巻く環境が日々変化している現代においては、個別課題ごとに法制度の改正を行っていくことには限界があります。消費者法制度について、既存の枠組みに捉われない抜本的かつ網羅的なルール設定の在り方について検討していく必要があるとして、この専門調査会が設置されました。そして、このパラダイムシフトの議論には、消費者と事業者との双方向コミュニケーションが必要であり、その視点から今回の企画を検討しました。講師の二之宮義人氏(KC’s常任理事・弁護士)は、専門調査会の委員としてこの議論に参加され、「消費者と事業者との双方向コミュニケーションが、今後の公正・良質な市場づくりのベースになる~パラダイムシフトの議論を通じて~」のテーマで講演をいただきました。
二之宮氏からは、従来の消費者法では、事業者と消費者との情報力・交渉力の格差の是正を法が介入する根拠とされてきたが、消費者の脆弱性に起因する格差以外の課題もあり、この消費者の脆弱性自体も法が介入する必要があることを解説されました。また、消費者法制度のルールの見直しに向けて、事業者は消費者・消費者団体との協議・対話(コミュニケーション)が不可欠であり、それによって、公正・健全・フェアーな市場を確保できるとされ、まさに双方向のコミュニケーションが重要である、と述べました。
パネルディスカッションは、コーディネーターには当研究会座長の片山登志子氏(KC’s副理事長・弁護士)、パネリストには、二之宮氏、村井正素氏(住友生命保険相互会社 お客さま本位推進部 部長代理)、西島秀向氏(KC’s理事長)の各氏が登壇しました。
村井氏からは、当研究会をきっかけに、双方向コミュニケーションに職員が参加することにより業務改善につなげた事例の紹介や、普段接しない消費者や業種を超えたさまざまな企業の取組みを知ることは職員が公正良質な市場づくりに貢献する気持ちを高め、消費者の声やさらに良い事例を活かして高い目標やあるべき姿を目指ざす意識を高めることができると感じられること、こうした取組を他の事業者とも共有していきたいと感じること、などの発言がありました。
二之宮氏からは、自主ルールであるソフトローに実効性を持たせるためには、自らがルールを守ろうとする意識を持ち価値観を共有することが大前提であり、そうでなければ、業務遂行の指針となる行動規範や行動原理である「プリンシプル」に到達はできないが、この双方向コミュニケーション研究会は、消費者と事業者が共通の価値観を持つための共通認識を醸成する場として機能してきた、との発言がありました。
西島氏からは、消費者団体は消費者の意見を把握する必要があり、消費者団体間の連携、消費者団体にそのような力量、体制を持つことが重要との発言がありました。
全体論議では、議論の内容が「難しかった」との声は多かったのですが、少しずつ理解を深めたいとの意見や今後の双方向コミュニケーション研究会の在り方、消費者と事業者がいっしょに考えて健全な市場づくりを目指すことの大切さについての意見もありました。 最後に片山座長から、本来あるべき市場を作るためには、双方向コミュニケーションは絶対に必要であり、双方向コミュニケーション活動を日本中に広げて、共通の価値として共有できる市場づくりにつなげていきたい、との「まとめ」をもって閉会しました。