2016年度双方向コミュニケーションセミナー「事業者と消費者の相互理解と信頼の再構築~模擬実践と『情報提供ツール』活用に向けて~」を開催しました。
2016.10.18(No.10000636)

 2016年10月18日、「2016年度双方向コミュニケーションセミナー」を大阪社会福祉指導センター(大阪市)で開催しました。48人の参加がありました。
 司会は、あざみ祥子理事が務めました。榎彰德理事長の開会挨拶では、KC’s設立当初より、事業者と消費者が敵対する関係ではなく、お互いに力をあわせて、よりよい消費者市民社会を一緒につくっていくことを目指して、双方向コミュニケーション研究会をつくってきたことが紹介されました。


【第一部:2015年度双方向コミュニケーション研究会の活動の紹介】

(1)「双方向コミュニケーション研究会の紹介」
 KC's事務局より、研究会で、試行錯誤を繰り返しながら、実践の場をつくってきた経緯や、消費者・事業者がお互い理解しあうことは簡単ではないが、実践の場で、双方が本音を出し合うことで、着実に気づきが生まれている。また、2014年度より、情報提供ツールの提言づくりに取り組んでいることが報告されました。
(2)「研究会報告事例①」           報告者:日本ハム(株) 山下 みどりさん
 情報提供ツール「ハム・ソーセージや調理食品のなるほど!納得!Q&A」を研究会に提供することで、消費者から率直な意見を聴くことができた。ともすれば、ツールを作成して終わりとなりがちだが、消費者の声を聴きながら改訂していくことが重要であり、ツールの作成はスタートであるとのご報告をいただきました。
(3)「研究会報告事例②」           報告者:兵庫県立大学 学生 田中 喜陽さん
 研究会で知り合うことができた事業者の協力で、「学生がかしこい消費者になるための場」として「ライフプランセミナー」を開催した。研究会に参加する中で、事業者がどのような想いで消費者やサービスを提供しているかが理解できた。消費者自らも知ろうと努力することが大切、とのご報告をいただきました。 

【第二部:パネル・グループディスカッション】

(1)プレゼンテーション「未成年者飲酒防止啓発ツール~どうする?どうなる?お酒のこと」
                        報告者:アサヒビール(株) 羽鳥 敏彦さん
 未成年者飲酒防止啓発活動の一環として、小学生向けに、パタパタ絵本方式で啓発ツールを作成した経緯や、このツールで未成年者飲酒の問題点や対処方法を学べ、教科書の副教材や学校での啓発活動に活用されていることのご報告がありました。
 また、消費者の健康志向の高まりや飲酒運転防止などのため、アルコール分がまったく入っていないノンアルコールビールを開発したが、法律上は、未成年者が飲んでもまったく問題ないことになっている。一方で、ノンアルコールビールは、酒コーナーでしか販売できないことになっており、消費者にどのような情報提供が必要なのか、ぜひご助言をいただきたいとの提起がありました。
(2)グループディスカッション・グループ発表
 アサヒビール(株)のプレゼンテーションをお聞きした後、グループに分かれて、参加者に意見交換いただきました。グループ発表で出されたご意見の概要は以下の通りです。

  ①「未成年者飲酒防止啓発ツールを消費者としてどう評価するか」
   ・パタパタ絵本はよく工夫されていて面白い。
   ・小学生向けとしては、字が小さいし、内容が難しい部分がある。
   ・小学生がお酒を勧められて断るのは難しい。大人への啓発が必要ではないか。
   ・未成年者の飲酒が駄目な理由をもっと明確に書くべきではないか。
   ・大人はどうして飲酒しても良いのかの説明も必要ではないか。
   ・ファミリー居酒屋でこのツールを展開すると良いのではないか。
  ②「ノンアルコールビールやアルコールに関して消費者へ情報提供してほしいこと」
   ・飲酒運転のリスクを煙草のパッケージのように表示してはどうか。
   ・ノンアルコールかアルコールか未成年者にもわかりやすく表示してほしい。
   ・飲める人も飲めない人も気持ちよく酒席に参加できる飲酒マナーの啓発に力を入れてほしい。
   ・飲酒運転防止の啓発活動に積極的に取り組んでほしい。
   ・ノンアルコールビールをいつ飲んで良いのかの社会的ルールづくりに努力してほしい。
   ・子どもに説明するのがややこしい商品は販売しないでほしい。
   ・運転免許更新の際に、飲酒運転防止啓発ツールを配布すると良いのではないか。

(3)パネルディスカッション
 パネリストとして、事例報告をしていただいた日本ハム(株)山下みどりさん、兵庫県立大学学生田中喜陽さん、プレゼンテーションをしていただいたアサヒビール(株)羽鳥俊彦さんに加えて、消費者志向研究所代表の池田康平さんが参加し、グループ発表を受け、活発にご議論いただきました。また、コーディネーターは、片山登志子副理事長が務めました。
 池田康平さんからは、「リスク情報はたいへん重要だが、表示やCMにのらない詳細な情報を消費者に直接伝える場としても、今回のような双方向コミュニケーションの場は有効だ。」とのご意見がありました。
 最後に、片山登志子副理事長より「一人の消費者が事業者に意見をいうのはしんどいが、こういう場で、多くの方と一緒に意見交換すると、いろいろな意見が出せるのではないか。消費者・事業者がお互いにコミュニケーションをとることで、事業者のよりよい製品・サービスの向上や消費者市民社会の実現につながる。双方向コミュニケーション研究会や実践の場、セミナーに、多くの消費者・事業者が参加されるように、さらに工夫していきたい。」とのまとめがありました。



※アサヒビール(株)「未成年者飲酒防止啓発ツール~どうする?どうなる?お酒のこと」
 詳しくは こちら(アサヒビール(株)ホームページ) をご覧ください。

※当日配布した「2015年度双方向コミュニケーション研究会まとめ冊子」をご希望の方は、1部200円(送料別)で販売しております。KC's 事務局までお問い合わせください。