KC’s10周年記念シンポジウムの開催のご報告
2015.12.07(No.10000565)

KC’s10周年記念シンポジウム
~KC’s10年の軌跡と今後10年への期待 ―消費者とともに― ~の開催報告。

 2015年12月5日、KC’s 10周年記念シンポジウムを新大阪江坂東急REIホテルで開催しました。112人が参加しました。

【あいさつ】 KC’s理事長 榎彰德
 冒頭、榎理事長からKC’sは関西の消費者団体、弁護士、司法書士、消費生活相談員、研究者、消費者、事業者合せて18団体と69個人の共同・協働の力によって2005年12月3日に設立され、2007年8月23日に適格消費者団体の認定を内閣総理大臣から受け、消費者団体訴訟制度にもとづき、8件の訴訟提起、事業者に改善を求める活動では、これまでに81の事業者に書面でのやり取りや協議をし、様々な改善を実現し、10周年を迎えたことを紹介しました。
 「消費者裁判手続特例法」が、2016年10月1日から施行され、制度を担う特定適格消費者団体の認定を得るべく準備を進めることに対して引き続きの支援を呼びかけました。

【基調講演1】「消費者被害拡大防止と回復:海外の制度・団体について」
                      関西大学法学部准教授 カライスコス・アントニオス氏
 フランスとギリシャなどの消費者団体の組織、活動内容、公的資金、集団訴訟などの特徴を比較して説明いただきました。日本の消費者団体と組織面、影響度、公的資金面等の違いがよくわかりました。
 今後、「適正な社会づくり」を視点に活動していく必要があること、世界では政府や自治体が消費者団体、特に公益的な活動をしている消費者団体には資金援助をするのは当然のことということがわかりました。

【基調講演2】「消費者被害拡大防止と回復:日本の制度・団体について」
                             筑波大学社会工学域准教授 高橋義明氏
 消費者団体が、消費者に関わり消費者力をアップさせ、消費者が他者を配慮することができる市民性を持つ社会が、消費者市民社会と紹介されました。また、消費者団体の役割は、消費者市民社会づくりにむけて、消費者のために教育、情報提供、相談などを行い、行政に対するロビー活動や政策論議への参画をすすめることの必要性を示された。
 しかし、日本の消費者団体の現状は、海外と比較すると①小規模団体が多数、②相談、商品テストという事業モデルが少ない、③事業収入、補助が共にかなり少額にとどまっています。日本の消費者団体の将来像として、消費者ニーズのより的確な把握と活動の見える化、安定的な財源確保が必要となっていることを紹介されました。

【パネルディスカッション】
 お二人の基調講演のあとパネルディスカッションとして「10年の軌跡と今後10年への期待―消費者とともに―」を行いました。パネリストは、内閣府消費者委員会河上正二委員長、カライスコス・アントニオス氏、高橋義明氏、KC’s事務局長の西島秀向。コーディネーターは、KC’sの坂東俊矢常任理事が担当しました。
 内容は①消費者団体は消費者被害の拡大防止に何ができるのか?②KC’sは、消費者の被害回復と公正な市場の実現のために、これから何ができるのか? (3)KC’sの10年後にはこうありたい、の三つの論点で発言いただきました。
 河上委員長から「適格消費者団体と消費者の連携・信頼のためには上から目線ではだめ、専門家は平易な言葉、わかりやすい表現ができるのも大切」と発言があり、参加者がうなずく姿がありました。
 また、会場発言として専門家、事業者、消費者の立場で関わってこられた方々に発言いただきました。
 参加いただいた方からは、KC’sの取り組みがよく理解できたなど、今後の期待を寄せるご意見をいただきました。

 シンポジウムのまとめとして、飯田副理事長から消費者と関わりを強め、来年に施行をむかえる新制度にむけての準備、次の10年を奮闘する決意を述べ閉会いたしました。

 シンポジウムの後、72名の参加で10周年記念レセプションを行い。映像で10年の歩みを紹介し、これまで関わりのある12名の方々にご発言をいただきました。

10周年記念冊子を作成し当日配布しました。